9/17から公開されているジブリの新作映画「レッドタートル ある島の物語」を急遽観てきました。
この映画の監督が、2001年米国アカデミー賞を受賞したあの8分の短編アニメ「Father and Daughter」(邦題:「岸辺のふたり」)の監督だと、今朝、たまたまチラシを読んで気付いたからです。

「Father and Daughter」は死別の悲しみを抱えた女性の生涯を8分で描きあげた傑作です。
死別の悲しみ癒しの広場でも紹介している大好きな作品です。
セリフが一切ないのに、主人公の気持ちが伝わってきて泣けます。

ジブリのプロデューサーが、この「Father and Daughter」を観て、監督に新作を依頼したのだそうです(そして、10年の歳月をかけて完成)。

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私は、そうとは知らず「レッドタートル」という作品のキャッチコピーが次のものだったので、死別の悲しみに役立つ映画かもと気になり、チラシを持ち帰っていたのです。

 どこから来たのか
 どこへ行くのか いのちは?


詩人の谷川俊太郎さんが考えたキャッチコピーだと思われます。

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さて、実際に観た感想ですが、特に死別の悲しみに役立つ映画ではありませんでした(だから、このブログで紹介しているのですね)。
おとぎ話のような、淡い詩情で彩られた余韻のある作品です。

普通のジブリ映画だと思って観に行くと、淡々とした展開に退屈してしまう人もでることでしょう。
実際、小さめのスクリーンが割り当てられて、観客数も、公開翌日の日曜日の午前中で10人ほどでした。

夕日のように、静かに沁みる映画です。登場人物の明確なセリフもありません。
そう、ジブリが以前発表した「かぐや姫の物語」のような大人向けの作品ですね。
観る人を選ぶ映画です。

私は映画を評価するときに、伏線がきちんと回収されて収束しているかということを気にする人間です。
本来、こういう芸術的な映画は嫌いではないのですが、その観点からみると、観終わって大きな謎が一つ残っているので、その点はマイナスです。

ある主人公の行動を阻んだ出来事の「犯人」や「動機」がわからないのです。しかし、その謎は原作の絵本を読むと解決できました。
え、それは、意外すぎるでしょうという答えがそこにあったのです。実は、君が犯人かと(カメさんではないのですよ)。うん、それは、洞察力や推理力があっても無理(笑)。

その絵本を読むことでようやく、ストーリーがある程度一貫性を持って理解できました。
映画を観て、もやもやした人はぜひ本屋さんに立ち寄ることをお勧めいたします(笑)。


※この映画には、人が溺れるシーンや津波のシーンがありますので、トラウマのある人は避けてください。