2019年10月

水害に遭った後の対処方法

台風19号によって、全国で6万2400棟あまりの住宅が浸水被害に遭ったとのこと。
つらい思いをされている方が沢山いらっしゃると思います。

その後も繰り返し雨が降っている地域もあり、被害に遭った方の疲労と心労はいかばかりかと察します。

マスコミやSNSでも浸水後のさまざまな対処方法が伝えられていますが、この期間に私なりに考え、情報収集した結果を記しておきたいと思います。

●溜まり水はサイフォンの原理で簡単に排水できる

syphon3ホース1本と、溜まり水の水面より低い排水空間があれば、簡単に溜まり水を排水できます。

理科の時間に習ったと思いますが、「サイフォンの原理」を使います。

私が子どもの頃、お風呂場に50センチほどのホースを持ち込んで、よく遊んだものです。湯船のお湯が、浴槽のふちをまたいだホースによって何の動力もないのに勢いよく放出されるさまを見て 「魔法みたい。信じられない!」 と思って興奮したものです。

やり方はこうです。
  1. ホース全体を湯船に沈めて中の空気を完全に抜く(←これ重要)
  2. ホースの片方に指を突っ込んでふさいで浴槽の外に出す
  3. ホースの先端を水面より下にし、指を離す
これだけで、浴槽のお湯がホースの先端から勢いよく流れだします。

同じ手順で、例えば、ため池をホース1本で空にできます。電動ポンプなど要りません。ただし、池の水面より低い位置にホースの出口がなければいけませんが。

Wikipedia 「サイフォン」の説明です(上記の図もWikipediaより)。

サイフォン
(siphon、ギリシア語で「チューブ、管」の意味)とは、隙間のない管を利用して、液体をある地点から目的地まで、途中出発地点より高い地点を通って導く装置であり、このメカニズムをサイフォンの原理と呼ぶ。
何らかの液体を、高い位置にある出発地点と低い位置にある目的地点を管でつないで流す際、管内が液体で満たされていれば、管の途中に出発地点より高い地点があってもポンプでくみ上げることなく流れ続ける。


サイフォンによる水の移動は、大規模なものではダムの排水に使われたり、局地的な水道設備や工業分野においても実際的な手段として用いられています。次のリンクは大阪府の公式ホームページなのですが、 ため池の堤防の決壊防止のためにサイフォンの原理を利用した簡易緊急放流装置を提案しているものです。

   参考リンク いざというときに備えて作ってみませんか?(サイフォン式簡易緊急放流装置について)

サイフォンの原理を使うことで、床下に水が溜まっているときや、敷地や道に水たまりがあるときなどに、手間をかけずに排水できる可能性があります。

水をかき出したいなと思ったときに、ぜひ、この方法を思い出してください。
(ちなみに、サイフォンの動作原理は今でも謎であり、大気圧説や重力説や水の鎖モデル説などがあります。興味のある方は書籍「サイフォンの科学史―350年間の間違いの歴史と認識 」をどうぞ。レビューを見るだけでも面白いですよ)


●高分子吸水材を使った吸水シートを使う
床下から水と泥をかき出したあと、高分子吸水材を使った吸水シートを地面に敷いて、かき出し切れない水分を吸収させるとよいでしょう。

吸水材を使った製品には、事業者用(例えば水道工事時やエレベータ・エスカレーターの地下の溜まり水などに使う)や災害用など各種ありますが、お勧めは介護用品の吸水(尿取り)シートです

本来は布団の上に敷いて使うものです。おねしょ対策や、体を部分洗浄するときに使うもので、いわば、シート状の紙おむつです

各種サイズがあり、街のスーパーや介護用品店、Amazonなどで簡単に入手できます。



高分子吸水材の威力は、大したもので、上記の製品の場合、1枚(45cm×60cm)で2リットルの水を吸収可能です。目いっぱい水を吸うと、厚さ10cm近くになるそうです。値段は10枚入りで1000円程度。

●サーキュレーター(送風機)や扇風機で湿気を飛ばす

カビが生える前に一刻も早く乾燥させることが肝心です。いったんカビが繁殖してまうと、のちのち呼吸器系の健康被害を招くおそれがあります。
水分は、カビだけでなく、ダニ、シロアリ、ゴキブリ、ムカデ、ナメクジなどの各種の害虫も呼びます。木材を腐らせ、釘などの金具を錆びさせ劣化させます。

また、建材に臭いのある水分が浸透してしまうと、夏の蒸し暑い時期に臭いが出るようになります。冷房時にも建材の湿気がエアコンで吸い出されるためにやはり匂いが出てしまいます。家がどこも壊れていなくても、我慢できなくて住めなくなることがあります。

停電していなければ、サーキュレーター(送風機)を24時間動かして、濡れたところに風を送り続けます。洗濯物でもそうですが、風を当てることによって、圧倒的に早く乾きます。電気代は1時間当たり0.3円~0.6円程度です。各方位にまんべんなく風を送ることができる首振り式のサーキュレーターがよいでしょう。2,000円~3,000円程度で首振り式のサーキュレーターは買えます。



もちろん、扇風機や換気扇もあればすべて回した方がよいです。
また、除湿機やエアコンの除湿機能も効果的に空気中の水分を取ってくれます(ただ、泥による粉じんが飛んでいるようだと内部のフィルターや部品を汚してしまいます)。

●消毒剤や消毒液を撒く

床下に浸水した場合、消石灰を撒くか、消毒液を噴霧します。

自治体によっては、無料で消毒してくれたり、消石灰を配布してくれるなどの行政サービスを実施している市町村がありますから、まず地元の市町村の公式ホームページでそのようなサービスがないか調べてください

消石灰とは、水酸化カルシウムの別名です。一昔前まで、学校のグラウンドに白線を引くのに使っていました。アルカリ性が強く目に入ると危険なので使われなくなりましたが、園芸や農業の分野で土壌のph改良材として使われます。また、そのアルカリ性の強さによって殺菌できるために、消毒剤としても畜産などの分野でも使われます。鳥インフルエンザや豚コレラの対策に撒かれている白い粉が、この消石灰です。



浸水した床下に、土の表面がうっすら覆われる程度散布します。

アルカリ性が強いため、散布時は長そでの服を着用し、ゴーグル、マスク、ゴム手袋などを着用し、吸い込んでしまったり、皮膚や目にかかったりしないようにします。


消毒液を作るには、家庭用塩素系漂白剤を使います。

「ハイター」には洗濯用と台所用の2種類があるのですが、どちらも使えます。
花王のサイトによると、どちらも次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする塩素系の漂白剤です。台所で使う「キッチンハイター」には洗浄成分がプラスされており、漂白と同時に軽い汚れまで落とせるのが特徴なのだそうです。

市販されている家庭用塩素系漂白剤の濃度は、1%~12%程度ですが、「ハイター」は約5%です。この「ハイター」を次の表に従って希釈して消毒に適した濃度である0.1%消毒液を作ります(この濃度はノロウイルスに対しても有効です)。






原液と水の量
500mℓペットボトル1.5ℓペットボトル2ℓペットボトル
ペットボトルの
キャップ2杯(10mℓ)
ペットボトルの
キャップ6杯(30mℓ)
ペットボトルの
キャップ8杯(40mℓ)
(参考:大田区保健所発行資料ほか)

ペットボトルのキャップ(ふた)は約5mlの容量なので、これで原液を量り、ペットボトルに水を足して希釈します。
なお、ペットボトルのキャップ(ふた)ではなく、塩素系漂白剤容器のキャップを使う場合は、容量は通常20ml~25mlです。容器に書いてありますので、確認して使用してください。

希釈する際には、目に入らないようにゴーグルをしてください。原液が目に入ると失明のおそれがあります。皮膚に付かないように注意し、もし付いたらすぐに水でよく洗い流してください。

液性はアルカリ性であり、酸性の洗剤と混ぜると有毒ガスが発生して、死亡するおそれがあります。絶対にほかの洗剤と混ぜたり、同時に使わないように注意してください。

誤飲を防ぐため、必ずペットボトルにはガムテープなどで、「危険 0.1%漂白剤溶液」などと書いたラベルを貼ってください。常に子どもの手の届かない所に置いてください。

希釈液ができたら、ゴム手袋をして雑巾で水拭きするか、霧吹きで噴霧します。



上の製品は500mℓのペットボトルに付けて使うもので、本体を逆さにしても噴霧できます。

作業する際には、十分な換気をし、休みながら作業してください。ぶっ続けで作業すると、当たり前のように気分が悪くなります。

          ※          ※          ※

各種対処方法をご紹介しましたが、復旧作業で無理をすると腰を痛めたり、風邪を引いたりしがちですので、どうぞいちばん大切な体も労わりながら作業してください。
浸水被害に遭われた皆様が一日も早く当たり前の生活に戻れるよう、お祈りいたします。

台風19号と水害

日本に甚大な被害を与えていった台風19号から1週間。
皆様はご無事でしたでしょうか。被害に遭われた方にはお見舞いを申し上げます。

通勤で渡る多摩川を眺めると、河川敷のその惨状に言葉を失います。
流れ去ってしまった公園の遊具や、橋げたに絡むように引っかかっている植物の残骸。

特に心配なのは、ホームレスの方のブルーシートの住まいが周りの樹木ごと消えてしまっていること。
もし、住民が川に流される惨事があったとしても、すぐには気付かれないのかも知れません・・・。
(避難所のホームレスの受け入れ拒否問題では、ホームレスに対する命の軽視や蔑視の意見に怒り心頭です。ホームレスの体の汚れは表面的なもので風呂に入れれば解決する問題だけど、嵐の中に追い出すことに賛同する連中は心の中が腐りきっている。こいつらの方がよっぽど汚い!!(怒))

閑話休題、怒るのはよくない・・・。
当日は、荒川が氾濫するのではないかという危機感から、TVのニュースをはしごしながらすべて観ているような状況で朝の4時頃まで起きていました。

5月にネットで話題になった江戸川区の水害ハザードマップのことはご存知でしょうか。
江戸川区はゼロメートル地帯であるため、大雨が続いたり大型の台風が来たりしたときには、区内の7割が水没するおそれがあると明記されており、「ここにいてはダメです」と区外への避難を呼びかける衝撃的なものでした。
曰く、「被害は江戸川区にとどまらず、墨田区、江東区、足立区、葛飾区を含む江東5区で発生し、250万人が被災」、「長いところでは2週間以上浸水が継続する」。

もし、これらの区が広域で浸水したら、日本の中枢である東京は麻痺します。
多くの企業活動、ひいては日本の経済活動も長期にわたって停滞するでしょう。何より、膨大な数の死者が出ることでしょう。

一日前には広域避難勧告を出すはずなのに、夜の間、まだ広域避難が出されないと気を揉んでていました。明日午後から、主要な鉄道の計画運休が発表されているから、広域避難勧告が出されたとしても、午前中しか区民が逃げる時間がない!と。

結局、広域避難は出されず、荒川も特に越水はなく、都内は多摩川が一部越水したという被害に留まりました。
荒川に関しては、のちのNHKスペシャルなどでも解説されていたように、「地下神殿」と呼ばれる首都圏外郭放水路と調整池の彩湖の活躍が大きかったようです。フル稼働をすることで、荒川流域を守ってくれたとのこと。

東京は事前に構築されていた大がかりな水害対策インフラによって川の氾濫からギリギリ守られた形です。

ただ、地方の被害が甚大であり、地方の大きな河川の流域はこれまでにないほど、多くの個所で氾濫を起こしていました。首都をほぼ守ることはできても、予想外に地方のダメージが深刻でしたね。

水害に遭われた方の心労はいかばかりでしょう。農作物に対する被害も大きく、一次産業(農業)に大きな打撃となってしまったようです。

台風にこんなに苦しめられるとは、新たな天候の時代に突入してしまったようです。
快適な生活が、地球温暖化という事態を招き、結局そのツケを払わされているのかも知れません。

波乱の時代を知恵を集めて乗り越えていかないといけないようです。
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